事業再構築補助金は、コロナ禍で業績悪化に苦しむ事業者を支援し、新たな事業への転換を促すための強力な制度です。
2023年12月15日に締め切られた第11回公募では、多くの企業が補助金の獲得を目指して熱い戦いを繰り広げました。
一体どのような企業が選ばれたのでしょうか?
今回は、最新の第11回公募結果を徹底解説し、採択率や応募金額・業種別傾向などを分析していきます。
また、第11回の採択結果データをもとに今後の事業再構築補助金獲得に向けた戦略を立てるためのポイントを提示します。
この情報を活用することで、より効果的な事業計画書の作成・必要書類の準備および審査対策ができるでしょう。
事業再構築補助金の獲得を目指す事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
事業再構築補助金の採択率は公募ごとに変化しており、企業にとって大きな関心事となっています。
最新の第11回公募の結果から、採択率の動向を詳しく見ていきましょう。
第11回公募では、9,207件の応募がありました。
そのうち2,437件が採択され、 採択率は26.5%です。
第1回公募の36%を除き、これまでの45%~50%前後の平均採択率と比較して大幅に減少しています。
公募回 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
第11回 | 9,207件 | 2,437件 | 26.5% |
【参考】事業再構築補助金第11回公募の結果について 令和6年2月 事業再構築補助金事務局
コロナ禍からの経済回復が進み事業再構築の必要性が高まっている一方で、補助金獲得を目指す企業も増加しているため競争が激化。
過去のデータを見る限り、採択率は公募回を追うごとに低下傾向です。
第12回以降の公募では、さらに厳しい審査が予想されます。
より説得力のある事業計画書の作成と、的確な審査対策が求められるでしょう。
各業種ごとの応募件数と採択件数を分析することで、どの業種が採択されやすいかがわかります。
ここからは、主要な業種別の応募件数と採択率について詳しく見ていきましょう。
公開された資料によると、応募件数がもっとも多かったのは製造業で19.7%でした。
次いで卸売業・小売業で16.1%・建設業が13.5%と、これらの業種が上位を占めています。
採択件数でも製造業は30.9%と最多。
次に卸売業・小売業で15.1%でした。建設業も13.1%と、応募件数とほぼ同様の傾向でした。
順位 | 業種 | 応募件数 | 採択件数 |
1 | 製造業 | 19.7% | 30.9% |
2 | 卸売業・小売業 | 16.1% | 15.1% |
3 | 建設業 | 13.5% | 13.1% |
【参考】事業再構築補助金第11回公募の結果について 令和6年2月 事業再構築補助金事務局
コロナ禍の影響を受けやすい製造業は、多くの企業が補助金の申請をおこなっています。
卸売業・小売業・建設業も、オンライン化や省人化など事業環境の変化への対応が求められており、多くの企業が事業再構築に挑戦中です。
これらのことから、事業再構築補助金は幅広い業種で活用されていることがわかります。
応募金額と採択金額の分布を分析することで、どの金額帯での採択が多いかを理解して次回の申請に役立てることができます。
ここからは、応募金額帯ごとの採択率について詳しく見ていきましょう。
事業再構築補助金の獲得を目指すうえで、どの程度の金額を申請するのが適切なのかは大きな関心事でしょう。
第11回公募では、応募金額帯ごとの採択率にどのような傾向が見られたのか確認していきます。
資料によると、応募金額の分布は、100~1,500万円が約61%、1,501~3,000万円が約27%と、この2つの金額帯に集中していることがわかります。
採択金額の分布を見ると、100~1,500万円が約55%、1,501~3,000万円が約26%となっており、応募金額とほぼ同様です。
注目すべきは、応募金額と採択率の関係です。
資料に掲載されているグラフを表にしましたのでご覧ください。
応募金額帯(万円) | 採択率 | 備考 |
100~1,500 | 13.1% | 応募金額が最も集中している帯。採択率も最も高い。 |
1,501~3,000 | 11.9% | 応募金額が2番目に集中している帯。 100~1,500万円帯と比べて採択率はわずかに低い。 |
3,001~5,000 | 10.1% | 100~1,500万円帯と比べて採択率がさらに低い。 |
5,001~10,000 | 9.2% | 100~1,500万円帯と比べて採択率がさらに低い。 |
10,001~15,000 | 7.8% | 100~1,500万円帯と比べて採択率がさらに低い。 |
15,001~20,000 | 6.9% | 100~1,500万円帯と比べて採択率がさらに低い。 |
20,001~ | 4.9% | 100~1,500万円帯と比べて採択率が最も低い。 |
【参考】事業再構築補助金第11回公募の結果について 令和6年2月 事業再構築補助金事務局
傾向
これは審査において、事業計画の規模や実現可能性に加え適切な予算規模が重要視されていることがわかります。
高額な補助金を申請する際は「実現可能性の高い」具体的な事業計画を策定してください。
予算の妥当性をしっかりと説明できるよう準備することが重要です。
事業計画の内容を充実させ、審査員の心をつかむことが補助金獲得への近道といえるでしょう。
第11回公募における全体的な採択結果を把握したうえで、さらに詳細なデータとして地域別の応募数や採択数を見ていくことが重要です。
第11回公募における都道府県別の応募・採択状況を分析すると、特に応募件数が多いのは東京(1,675件)です。
次に、大阪(955件)・兵庫(440件)となっています。
採択件数では、東京が448件。
大阪が265件・兵庫が108件と、応募件数に比例して多くなっています。
また、応募件数に対する採択率で見ると、滋賀県が126件の応募に対して48件の採択(約38.1%)
次に高知県が21件の応募に対して8件の採択(約38.1%)
富山県が78件の応募に対して28件の採択(約35.9%)と、特に高い採択率を示しています。
このような地域別のデータを参考にすることで、自社の地域特性を考慮した申請戦略を立てることが可能となります。
都道府県 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 | 備考 |
東京 | 1,675 | 448 | 26.8% | 応募件数・採択件数ともに最多 |
大阪 | 955 | 265 | 27.7% | 応募件数・採択件数ともに2番目に多い |
兵庫 | 440 | 108 | 24.5% | 応募件数・採択件数ともに3番目に多い |
滋賀 | 126 | 48 | 38.1% | 採択率が最も高い |
高知 | 21 | 8 | 38.1% | 採択率が2番目に高い |
富山 | 78 | 28 | 35.9% | 採択率が3番目に高い |
傾向
地域特性を考慮した申請戦略
【参考】事業再構築補助金第11回公募の結果について 令和6年2月 事業再構築補助金事務局
事業再構築補助金第11回公募の結果を分析した結果、以下のことが明らかになりました。
事業再構築補助金獲得を目指す事業者は、これらのデータに基づき、自社の状況に合わせて以下の対策を検討していく必要があります。
本記事が、事業再構築補助金獲得に向けた戦略立案の一助になれば幸いです。