中小企業や小規模事業者が直面する生産性の課題解決や経済活性化への寄与を目的とした「ものづくり補助金」。
この補助金制度は、製品開発や生産プロセスの効率化を図るための設備投資を支援します。
18次公募では、省力化枠・製品/サービス高付加価値化枠・グローバル枠という3つの枠組みが設けられ、それぞれ異なる要件が設定されています。
申請にあたっては、具体的な事業計画の策定や会社全体の付加価値額の増加・給与支給総額の向上・地域別最低賃金の維持など、いくつかの基本要件を満たさなければなりません。
本記事では、ものづくり補助金の概要から各枠に応じた申請要件・必要な書類について徹底解説します。
中小企業経営者や事業を拡大しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新たな製品やサービスの開発、または生産プロセスの省力化による生産性向上を目指す際の設備投資を支援するための国の補助金制度です。
この制度を利用することで最大1億円の補助を受けられ、補助率はプロジェクトに応じて1/2・1/3・2/3のいずれかが適用されます。
設定された複数の「枠」や「類型」から申請することが求められ、事業計画書を含む必要書類の提出が必須です。
ただし、申請してもすべての事業者が採択されるわけではなく、審査を経て採択されたプロジェクトのみが補助金を受けとれます。
2024年度のものづくり補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復を促進する特例措置や賃金上昇を奨励するための補助金上限額の引上げ・オンライン口頭審査の導入が特徴です。
詳細は公募要領を確認しましょう。
【詳細】ものづくり補助金総合サイト
【第18次公募スケジュール】
公募開始:2024年(令和6年)1月31日(水)17時 申請開始:2024年(令和6年)3月11日(月)17時 申請締切:2024年(令和6年)3月27日(水)17時 |
※【令和6年能登半島地震で被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象とする公募受付期間の延長について】
上記に該当する方は、措置後、令和6年1月31日(水) から 令和6年5月 9日(木)17:00 まで 延長されます。
【申請対象者】
ア:資本金又は従業員数(常勤)が一定値以下となる会社又は個人中小企業者(組合関連以外) イ:「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定される、特定の組合に該当する中小企業者(組合・法人関連) ウ:従業員数(常勤)が一定値以下となる個人事業主(小規模企業者・小規模事業者) エ:従業員数、資本金額(または出資総額)や組合などの条件を満たす特定事業者の一部 オ:活動内容や従業員数などの条件を満たす特定非営利活動法人 カ:従業員数が300人以下の「社会福祉法」第32条に規定する所管庁の認可を受け設立されている社会福祉法人 |
【基本要件】
下記3点を満たす3~5年の事業計画書の策定および実行 ① 付加価値額が年平均成長率+3%以上増加 ② 給与支給総額が年平均成長率+1.5%以上増加 ③ 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 |
【補助金額および補助率】
補助金額:750万円~1億円(※) 補助率:1/3、1/2、2/3 ※:「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」の活用で最大2,000万円の補助上限金額の引き上げあり |
【申請枠】
1. 省力化(オーダーメイド枠) 2. 製品・サービス高付加価値化枠 →通常類型 →成長分野進出類型(DX・GX) 3. グローバル枠 |
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者がより良い商品を作ったり、生産性を上げたりするための補助をするお金です。
詳細は公募要領に記載されているので、2024年のものづくり補助金の特徴を押さえていきましょう。
新型コロナウイルスの影響から事業の回復を目指す中小企業を支援するために設けられた「新型コロナ回復加速化特例」。
新型コロナ回復加速化特例は、給与支給総額の増加や地域別・事業場内最低賃金の引き上げに積極的に取り組む事業者に対し、補助率を2/3まで引き上げるための制度です。
ただし、この特例は「大幅賃上げに係る補助上限額引上げの特例」との併用はできませんので、利用を検討する際には留意する必要があります。
2024年度の改訂により、ものづくり補助金では「大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例」が導入されました。
この特例では、平均給与支給額の成長率が6%以上の事業者を対象に、補助金の上限額を100万円から最大2,000万円まで引き上げます。
特例の目的は、中小企業や小規模事業者が従業員の待遇改善を進め、持続可能な経営を支援することです。
ただし、利用制限があり下記の方は適用されませんので注意しましょう。
・新型コロナ回復加速化特例を申請している場合 ・各申請枠の上限額に達していない場合 ・再生事業者が申請する場合 ・常勤従業員がいない場合 |
補助上限額の引き上げと補助率は、申請枠や業種・従業員数により異なるため、詳細は公募要領を確認しましょう。
この特例を利用することで、賃金増加により従業員のモチベーション向上や、優秀な人材の確保・維持が見込めます。
大幅な賃上げ特例は事業者にとって大きなメリットがありますが、適用条件と利用できないケースを把握し、計画的に申請する必要があります。
枠や類型ごとの引き上げ額・補助率は下記の通りです。
省力化(オーダーメイド)枠の場合
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 750万円以内(1,000万円以内) | 1/2以内 ※小規模・再生2/3以内 ※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
6~20人 | 1,500万円以内(2,000万円以内) | |
21~50人 | 3,000万円以内(4,000万円以内) | |
51~99人 | 5,000万円以内(6,500万円以内) | |
100人以上 | 8,000万円以内(1億円以内) |
製品・サービス高付加価値化枠①通常類型の場合
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 750万円以内(850万円以内) | 原則:1/2以内 小規模・再生:2/3 新型コロナ回復加速化特例:2/3 |
6~20人 | 1,000万円以内(1,250万円以内) | |
21人以上 | 1,250万円以内(2,250万円以内) |
製品・サービス高付加価値化枠②成長分野進出類型(DX・GX)の場合
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 1,000万円以内(1,100万円以内) | 2/3以内 |
6~20人 | 1,500万円以内(1,750万円以内) | |
21人以上 | 2,500万円以内(3,500万円以内) |
グローバル枠の場合
補助上限額 | 補助率 |
3,000万円以内(4,000万円以内) | 1/2以内小規模2/3以内 |
※上表( )内は特例を適用した場合の補助上限額。
【参考】経済産業省
大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例は、生産性向上を図りながら、賃金の向上にもつながる革新的な製品やサービスの開発を後押しするためのものです。
2024年から導入されたものづくり補助金の特例を活用して未来への投資をおこないましょう。
2024年度から補助金の申請額が一定規模を超える事業者向けに、オンライン口頭審査が導入されます。
この新しい試みの目的は、補助金申請の公正性と透明性を向上させることです。
申請者はプレゼンテーションを通じて事業計画の意図や目標を説明し、審査員からの質問に即座に答える必要があります。
事業計画に対する深い理解が求められるので、入念に準備しましょう。
【口頭審査の概要】
・審査期間:2024年4月24日~5月15日(4月30日~5月2日除く) ・審査方法:オンライン(Zoom使用) ・審査対象者:申請事業者自身 ・所要時間:約15分 ・持参書類:写真付き身分証明書 |
審査では、事業の適合性や革新性・実現性などが重点的に評価されます。
そのため申請者は、事業計画を詳細に説明できるよう準備しておく必要があるでしょう。
また、オンライン審査ではヘッドセットやイヤフォンの使用が禁止されているため、Webカメラ・マイク・スピーカーを用意してください。
2024年度におけるものづくり補助金は、事業者のさまざまなニーズに応じて、3つの「枠」と2つの「類型」に細分化されています。
ここでは、それぞれの枠と類型について概要をご紹介します。
これらの情報を基に、どの枠または類型に申請するかの検討に役立ててください。
2024年度のものづくり補助金の中でも特に注目されているのが、省力化(オーダーメイド枠)です。
省力化(オーダーメイド枠)は、労働力不足に直面している日本の中小企業や小規模事業者が、デジタル技術を駆使して生産プロセスやサービス提供方法の革新を図るための投資を支援することを目的としています。
具体的には、AI・ロボット技術・ICT・Iot・センサーなどを活用し、生産ラインの自動化や業務効率の大幅な向上を実現するプロジェクトが対象です。
対象となる経費は、新たな設備やシステムの導入に必要な費用全般に及びます。
例えばオーダーメイドのソフトウェア開発費や必要な機械装置の購入費、導入に際してのコンサルティング料など。
補助金額については、他の枠組みと比較して高額の設定が可能であり、プロジェクトの内容に応じて補助率や補助上限額が定められます。
補助金額 | 【従業員数】 5人以下:100万円~750万円 6~20人:100万円~1,500万円 21~50人:100万円~3,000万円 51~99人:100万円~5,000万円 100人以上:100万円~8,000万円 |
補助率 | 【中小企業】 1/2 (補助金額が1,500万円まで) 1/3 (1,500万円を超える部分) 【小規模企業者・小規模事業者】 2/3 (補助金額が1,500万円まで) 1/3(1,500万円を超える部分) |
補助金の申請にあたっては、以下の追加要件が設けられています。
まず設備導入前と比較して、労働生産性が2倍以上に向上することが期待されるプロジェクトであることが必要です。
さらに投資回収が3〜5年の事業計画期間内に可能であることと、外部のシステムインテグレーターを利用する場合には、3〜5年間の保守・メンテナンス契約を締結していることが求められます。
また、資金調達に金融機関からの借り入れを予定している場合には、事前に金融機関からの確認書の提出も必要です。
省力化(オーダーメイド枠)は、デジタル技術を活用しない場合は対象外となるため、申請する企業は、自社の事業内容や課題に応じたデジタル技術の導入計画を明確に策定することが重要。
そうすることで、人手不足の解消だけでなく生産性の大幅な向上を実現し、持続可能な事業成長につなげることが期待されます。
ものづくり補助金の一環として設けられている「製品・サービス交付加価値化枠」は、中小企業や小規模事業者が市場競争力を高めるために必要な設備投資やシステム構築などに対して、経費の一部を補助する制度です。
この枠組みには「通常類型」「成長分野進出類型(DX・GX)」の2つが存在し、それぞれが企業の異なるニーズに応える形で設計されています。
通常類型は、製品やサービスの交付加価値化を目指す全般的な事業に対して支援を提供します。
<対象経費>
・機械装置・システム構築費 ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・原材料費 ・外注費 ・知的財産権等 関連経費 |
特に、機械装置・システム構築費の設備投資は単価50万円(税込)以上が条件とされ、高い技術基準や品質基準に対応するため設備導入が奨励されています。
補助金額は最大で750〜1,250万円(※従業員数や特例によって変動)まで、補助率は1/2、小規模事業者や再生事業者は2/3です。
一方、成長分野進出類型(DX・GX)は、特にDXやGXなど今後成長が見込まれる分野への進出を目指す事業者に向けた支援をおこないます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)はAIやIot、センサーといったデジタル技術を駆使して新規製品やサービスの開発を目指すこと。
GX(グリーン変革)は、2050年のカーボンニュートラル達成に寄与する製品やサービスを開発し、環境に配慮したビジネス展開をすることをいいます。
成長分野進出類型(DX・GX)では、革新性が重要な評価ポイントであるため、申請時には未だかつてないアイデアや競合他社が手がけていない新しい方法を提案することが求められます。
自社と業界にとって新しい挑戦が、地域や業界のモデルケースになる可能性があることが重要な評価ポイントなのです。
そのため、補助対象となる製品やサービス開発は、新たな市場への挑戦や持続可能な社会への貢献が期待されます。
成長分野進出類型(DX・GX)の補助金額については、通常類型よりも支援上限額や補助率が高く設定され、最大1,000〜2,500万円までの補助が可能です。
対象経費は通常類型と同様ですが、特に成長分野に資するような技術導入やシステム構築に重点を置かれます。
追加要件は「通常類型」「成長分野進出類型(DX・GX)」に共通して、補助金の申請には企業の事業計画書や予算計画が必要となり、計画の実行性や革新性・市場への影響力などが評価されます。
また、コロナからの回復を図りつつ、最低賃金の引上げなど社会的課題にも貢献する事業者には、補助率の引上げが検討されるなど社会貢献度も重視されます。
通常類型の場合
補助金額 | 【従業員数】 5人以下:750万円以内(850万円以内) 6~20人:1,000万円以内(1,250万円以内) 21人以上:1,250万円以内(2,250万円以内) |
補助率 | 原則:1/2以内 小規模・再生:2/3 新型コロナ回復加速化特例:2/3 |
成長分野進出類型の場合
補助金額 | 【従業員数】 5人以下:1,000万円以内(1,100万円以内) 6~20人:1,500万円以内(1,750万円以内) 21人以上:2,500万円以内(3,500万円以内) |
補助率 | 2/3以内 |
製品・サービス高付加価値化枠では、単に生産性を向上させるだけではなく、顧客に新たな価値を提供することが求められます。
補助金の額や補助率は、事業計画の内容や革新性の度合いに応じて変わる可能性があるため、申請時には明確な事業計画を準備することが重要です。
グローバル枠は海外市場への展開を目指す日本事業者に対し、その挑戦をサポートするために設けられた補助金です。
活用することで企業は、海外直接投資や輸出・インバウンド対応・海外企業との共同事業など、国際的なビジネス展開を推進するために必要な設備投資やシステム構築に関する費用の支援を受けられます。
グローバル枠の目的は、国際市場での競争力を高めることにあります。
事業者がグローバルな視点をもって事業展開をおこなうことで、国内外問わず事業の競争力を向上させることが期待されているのです。
グローバル枠を通じて日本の事業者が新たな市場を開拓し、グローバルなビジネスモデルを構築することが目指されています。
グローバル枠での補助対象となるのは、主に以下のような経費です。
・海外直接投資に関わる設備投資 ・輸出促進活動に必要なシステム構築費 ・インバウンド需要対応のための設備導入費 ・海外企業との共同事業に伴う設備投資 |
上記の経費には、海外渡航に要する経費やプロモーションに係る経費なども含まれ、グローバルな市場での活動が支援対象となります。
グローバル枠では最大で3,000万円までの補助が可能であり、補助率は中小企業で1/2・小規模企業者・小規模事業者で2/3です。
補助金額 | 100万円~3,000万円 |
補助率 | 中小企業:1/2 小規模企業者・小規模事業者:2/3 |
この補助率により事業者は必要な設備投資やシステム構築に要する費用の半分を補助金としてカバーできます。
グローバル枠を活用をすることで、海外展開の際の経済的負担を軽減し、より積極的な海外進出が可能になります。
また補助対象となる海外事業が明確に定義されており、それぞれの事業タイプごとに追加要件が設けられています。
海外事業とは以下の4つを指します。
・海外への直接投資に関する事業 ・海外市場開拓(輸出)に関する事業 ・インバウンド対応に関する事業 ・海外企業との共同でおこなう事業 |
事業タイプに応じて、必要な追加要件が異なる点に注意が必要です。
海外への直接投資に関する事業では、国内本社が補助事業者として海外支店や子会社の補助対象経費の半分以上をカバーし、国内外の事業所が一体となった事業展開をおこなう必要があります。
また、海外子会社との契約書や事業計画などの詳細な資料提出が求められるのです。
海外市場開拓(輸出)に関する事業では、製品やサービスの最終販売先の半分以上が海外顧客であり、事業計画期間中の売上が補助金額を上回る計画であることが必要です。
また市場調査報告書や想定顧客による性能評価報告書の提出が必須となります。
インバウンド対応に関する事業では、販売先の半分以上が訪日外国人であり、補助事業の売上累計額が補助金額を超える計画であること、インバウンド市場調査報告書の提出が求められます。
海外企業との共同でおこなう事業では、共同研究契約書や業務提携契約書の提出が必要であり、成果物の権利の全部または一部が補助事業者に帰属することが条件です。
さらに、グローバル枠の申請には、金融機関からの資金調達を予定している場合、その事業計画の確認を金融機関に受け、確認書を提出する必要があります。
これは、事業の実現可能性を金融機関が評価することで、より確実な事業展開を支援するためです。
また、海外事業の実現可能性調査をおこなっていること、社内に海外事業の専門人材を有しているか、外部の専門家と連携していることも追加要件として挙げられています。
そのため計画段階での市場調査や規制調査、さらには取引先の信用調査など、情報収集と分析が求められます。
グローバル枠の活用には、これらの追加要件を満たす必要がありますが、国際市場で成功を収めるために必要な事前準備を促進するための措置です。
海外での事業展開を目指す企業にとって、グローバル枠は経済的な支援だけでなく、事業計画の質を高める機会を提供しています。
2024年(令和6年)のものづくり補助金のスケジュール18次募集は令和6年3月27日(水) 17時にて終了しました。
19次募集のスケジュールはまだ発表されていませんので、詳細は公式サイトをご確認ください。
【参考】ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金の申請プロセスは、申請から採択・事業の実施にいたるまでが完全に電子化されています。
以下に、申請プロセスを簡潔にまとめます。
①公募要領の確認 | 補助金の詳細情報、対象となる事業範囲や経費、申請期間等を公式サイトなどで確認。 |
②GビズIDプライムアカウントの取得 | 電子申請システムへのログインに必要なアカウントを取得。 |
③必要書類の準備 | 申請に必要な書類を確認し、電子ファイルとして準備。 |
④電子申請システムへのログイン | GビズIDプライムアカウントを使用して、電子申請システムにログイン。 |
⑤申請内容の入力 | 事業計画の概要、予算計画など、必要な情報をシステムに入力。 |
⑥必要書類の添付 | 準備した書類をシステムにアップロード。 |
⑦申請内容の自動チェック・送信 | システム上で申請内容のチェックをおこない、エラーがなければ送信。 |
⑧審査と採択通知 | 提出後、約2カ月を目安に審査がおこなわれ、結果が通知される。 |
すべてのプロセスが電子化されているためどこからでも申請が可能であり、中間検査や実績報告・補助金の受け取りにいたるまで、全手続きをオンラインで完結できます。
申請に際しては、インターネット環境の確認と必要に応じて専門家への相談も忘れずにおこないましょう。
「GビズIDプライムアカウント」は、ものづくり補助金の電子申請をはじめ、国への様々な申請に必要なデジタルアカウントです。
このアカウントを使うことで、企業は複数の行政サービスを一つのアカウントで利用できるようになります。
つまり、ものづくり補助金だけでなく、他の補助金制度への申請にもこのアカウントを活用することが可能です。
GビズIDプライムアカウントの取得は、専用のWebサイトからおこないます。
申請時には、
・メールアドレス(アカウントIDとして使用) ・操作するための端末(パソコン) ・プリンター ・印鑑証明書 ・登録申請書 ・スマートフォンまたは携帯電話 |
が必要となります。
このアカウントを事前に取得しておくことで、補助金申請のプロセスがスムーズに進行し、手続きの迅速化を図れます。
詳細やアカウントの取得方法については、GビズIDの公式サイトをご確認ください。
ものづくり補助金を申請する際には、事業の将来性や補助金利用の正当性を示すために、さまざまな書類の提出が求められます。
提出書類には、
・事業計画書 ・補助経費に関する誓約書 ・賃金引上げ計画の誓約書 ・決算書等 ・従業員数の確認書類 |
などが含まれます。
これらはすべて必須の書類であり、補助金申請の受付けにおいて最低限必要とされるものです。
一方、下記の書類はプロジェクトの内容や目的に応じて必要となる場合があります。
・労働者名簿 ・「再生事業者」であることを証明する書類 ・大幅な賃上げ計画書 ・金融機関による確認書 ・海外事業の準備状況を示す書類 ・最低賃金要件に関する確認書 ・その他加点に必要な資料(任意) |
補助金申請にあたっては、公募要領の内容を十分に理解し、要件を満たす適切な書類を準備することが求められます。
必要書類の準備を通じて、自社の事業計画を再確認し、より具体的で実現可能な計画に磨きをかけるとよいでしょう。
【参考】公募要領概要版
ものづくり補助金の審査通過率は過去の公募では62.5%と非常に高かったのですが、その後は50.2%と低くなり、現在は審査通過が厳しい実状があります。
この競争を勝ち抜くためには、まず事業計画書の内容を丁寧に練り上げることが重要です。
公募要領に記載された「要件」を正確に理解し、審査項目をきちんと守れているか必ず再チェックする必要があります。
さらに、加点項目や減点項目を把握し、計画書を戦略的に作成していくことが採択につながるでしょう。
採択されるポイントについて、詳しく解説していきます。
ものづくり補助金の申請において、事業計画書は最も重要な書類の一つです。
事業計画書には、企業が将来的に達成を目指す「付加価値額アップ」・「給与支給総額アップ」・「地域内最低賃金に上乗せする待遇」の3つの指標を明確に示す必要があります。
付加価値額は、営業利益・人件費・減価償却費の合計で算出し、これらの増加予想値を平均3%以上に設定することが求められます。
給与支給総額の増加率は年平均1.5%以上を目標に設定し、具体的な計算根拠を事業計画書に記載することが必須です。
また、最低賃金に関しては、各都道府県で定められた最低賃金額に30円以上を上乗せした額を従業員に支払うことを計画に含める必要があります。
これらの内容を正確に、かつ詳細に事業計画書に盛り込むことが、補助金の採択に向けての大きな一歩となります。
ものづくり補助金を申請し採択されるためには「要件」の正確な理解とそれに基づく書類の作成が審査の重要なポイントです。
補助金の「要件」には、事業計画の革新性や独自性など、事業が持つ特性を示す要素が含まれています。
事業の革新性では、必ずしも前例のない発明や画期的なアイデアのみを求めるわけではありません。
業界内でまだ広まっていない新しいアプローチやサービスを提案することも、重要な審査の対象とされます。
申請書類には、これらの要件を満たしていることを明確に示し、計画の特色と革新性を具体的に説明することが求められます。
ものづくり補助金を申請する際は、加点項目と減点項目の両方をしっかりと理解し、適切に対処することが重要です。
加点項目は、申請者が採択されすくなる要素であり、例えば
・「成長性加点」経営革新計画承認書 ・「政策加点」開業届やサイバーセキュリティお助け隊の契約書の写し ・「災害等加点」事業継続力強化計画認定書 ・「賃上げ加点」特定適用事業所該当通知書 |
などが求められます。
これらの加点項目を満たすことにより、審査において有利な位置に立てます。
一方で、過去3年間に補助金の交付を複数回受けている事業者は減点の対象となり、場合によっては申請対象外となることもあるのです。
減点項目に該当しないよう、細心の注意を払うことが求められます。
このように、加点項目を狙うことで審査での評価を高め、減点項目を避けることで不利な状況を回避する戦略が、ものづくり補助金の申請においては極めて重要です。
申請前には、これらの項目をしっかり把握し、審査に有利な申請書の作成を目指しましょう。
松下農園は、環境制御システム導入による高糖度ミニトマトの生産効率向上を目指し、平成30年度のものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を申請し、1,000万円の補助金が採択されました。
事業計画書の作成においては、農園の強みやビジョンをはっきりさせ、事業の革新性や差別化要素を強調することに成功しています。
このアプローチにより、審査員に松下農園の独自性と、提案された技術導入の価値を明確に伝えることができました。
また、客観的な数値を用いて課題解決の具体策を提示したことで、補助金の効果的な活用方法と事業の持続可能性を証明したのです。
松下農園の事例は、補助金申請における成功のためには、単に事業計画を提出するだけでなく、その内容を具体的かつ戦略的に構築することの重要性を示しています。
【参考】https://mirasapo-plus.go.jp/hint/7593/
2024年(令和6年)のものづくり補助金は、新型コロナ回復加速化特例や大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例などが設けられています。
省力化(オーダーメイド枠)製品・サービス高付加価値化枠・グローバル枠の3つの枠と、通常類型・成長分野進出類型の2つの類型を理解し、適切な申請方法と事業計画書の作成が重要です。
加点項目や減点項目を把握し、成功事例から学ぶことで、採択率を高めることができます。
ものづくり補助金の申請は、自社のタイプを見極めて申請してみてください。