IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が低コストでITツールを導入し、業務効率化や売上アップを実現するための国の補助金制度です。
しかし、補助金の申請手続きは煩雑でITツール選定も簡単ではありません。
そこで頼りになるのが、IT導入支援事業者です。
支援事業者は、ITツールの導入から補助金申請・その後の運用サポートまで伴走型で支援してくれる心強い存在です。
自社の課題やニーズに最適なITツールを提案してくれるため、初めてのIT導入でも安心して取り組めます。
補助金でIT導入を成功させたいとお考えの方は、IT導入支援事業者の活用を検討しましょう。
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツール(ソフトウェア、システムなど)を導入する費用の一部を国が補助する制度です。
業務効率化や売上アップ、テレワーク導入などを目的としており、幅広い業種・規模の企業で利用可能です。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
【関連記事】2024年/令和6年 IT導入補助金とは?対象や申請方法をわかりやすく徹底解説
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金の活用を考えている企業にITツールの導入から運用までを総合的にサポートする事業者のことです。
具体的には以下のサポートをおこないます。
IT導入支援事業者自身も審査を通過し、IT導入支援事業者として経済産業省から認定を受けているため安心して任せられる存在です。
IT導入補助金の申請に際して、法人(単独)とコンソーシアムの2つの形態が存在します。
以下では両者の特徴と違いについて説明します。
コンソーシアムとは、複数の企業が連携してIT導入支援をおこなう形態です。
「幹事社」と呼ばれる代表企業と「構成員」といわれる複数の企業によって構成されます。
特定の地域や業界に特化した専門知識やノウハウを持つ企業が集まり、幅広いニーズに対応できることが特徴です。
専門性の高いITツール導入や、大規模なシステム開発をともなう場合に強みを発揮します。
法人(単独)とは、1社単独でIT導入支援をおこなう形態です。
特定のITツールやサービスに特化している場合が多く、その分野に関する専門知識やノウハウが豊富なことが特徴です。
導入後の運用サポート体制が充実しているケースも多く見られます。
このように、IT導入支援事業者には2つの形態が存在します。
どちらが自社に最適なのか、比較検討する必要があるでしょう。
【参考】IT導入補助金 2024令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業「ITベンダー・サービス事業者のみなさま」
【参考】IT導入補助金2024 IT導入支援事業者登録の手引き
【参考】IT導入補助金2024 IT導入支援事業者 登録要領
それでは、コンソーシアムには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
複数の企業が連携している強みを活かして、以下のようなメリットを手に入れることができます。
1. 幅広いニーズへの対応力
コンソーシアムは、異なる専門分野を持つ複数の企業が集結しているため多様なニーズに対応できることが大きな強みです。
例えば、
などが連携していれば、企業の抱える課題に合わせて最適なITツールやサービスを組み合わせた提案を受けることが可能です。
2. 専門性の高さ
コンソーシアムに参加する企業は、それぞれが特定の分野における専門知識やノウハウを有しています。
専門性の高いITツールを導入する場合や複雑なシステム開発が必要な場合でも、質の高いサポートを受けられるメリットが魅力です。
3. 地域密着型のサポート
地域に根づいた企業が複数集まっているコンソーシアムの場合、地域特有の事情を踏まえたきめ細かいサポートを受けられる可能性があります。
顔の見える関係性を築きやすい点もメリットといえるでしょう。
4. ワンストップでの対応
IT導入には、ITツール選定と導入・補助金申請・運用サポートなどの工程が発生します。
コンソーシアムなら、これらの工程を一括して依頼できるため企業側の負担を軽減できます。
窓口が一本化されることで、スムーズなやり取りが期待できる点も魅力です。
5. リスク分散
コンソーシアムは複数の企業で構成されています。
仮に一社の企業にトラブルが発生した場合でも、他の企業がサポートを継続できる可能性が高いためリスクを分散できます。
特に下記の企業にとって、コンソーシアムは心強い味方となるでしょう。
このように、コンソーシアムには多くのメリットが存在します。
多くのメリットがあるコンソーシアムですが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
IT導入支援事業者を選ぶ際には、これらのデメリットも考慮に入れて総合的に判断することが重要です。
1. 意思決定の遅さ
コンソーシアムは複数の企業で構成されているため、意思決定に時間がかかる場合があるでしょう。
各社の意見調整や合意形成が必要となるため、迅速な対応が求められる場面では単独法人と比べて不利になる可能性があります。
2. コミュニケーションコストの増加
複数の企業が関わるため、コミュニケーションコストが増加する傾向があります。
情報共有や進捗確認など綿密な連携が必要となり、担当者間のコミュニケーション不足や認識齟齬が生じるリスクもあるでしょう。
3. 責任の所在が不明確になる場合
コンソーシアム内での役割分担が曖昧な場合、トラブル発生時の責任の所在が不明確になる可能性があります。
契約内容や協定内容を明確化し、各社の責任範囲を明確にしておくことが重要です。
4. コスト高になる可能性
コンソーシアムは、複数の企業がそれぞれ利益を確保する必要があるため単独法人に比べてコストが高くなる場合があります。
特に、小規模なIT導入の場合には費用対効果の面で注意が必要です。
5. 幹事社への依存
コンソーシアムは、幹事社が中心となって運営されるため幹事社の能力や対応力に大きく依存するでしょう。
幹事社の選定を誤ると、コンソーシアム全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。
コンソーシアムを選択する際には、
などを慎重に確認することが重要です。
コンソーシアムは、適切に運営されれば大きなメリットをもたらしますがデメリットも存在します。
自社の状況に合わせて慎重に判断しましょう。
コンソーシアムは、複数の企業が持つ専門知識やノウハウを結集できるため、以下のようなケースで特に有効です。
1. 専門性の高いIT導入を検討している場合
AIやIoTといった高度な技術を必要とするITツールを導入する場合、単独法人では対応が難しいケースがあるでしょう。
コンソーシアムなら各分野の専門家が集結しているため、高度な技術や専門知識を必要とするIT導入も安心して任せられます。
2. 幅広い業務プロセスに対応する必要がある場合
販売管理・顧客管理・会計処理など、複数の業務プロセスに特化したITツールを導入する必要があります。
コンソーシアムなら幅広いITツールを提供できるため、多様な業務ニーズに対応したシステム構築が可能です。
3. 大規模なシステム開発が必要な場合
基幹システムの刷新・複数部門を横断する大規模システム開発には、コンソーシアムが持つ豊富なリソースやノウハウが活かせます。
マネジメントやリスク管理など、大規模プロジェクトに強い企業が参加するコンソーシアムを選べば、よりスムーズな導入が期待できます。
4. 地域特有の事情に対応する必要がある場合
地域に密着した事業を展開している企業の場合、その地域特有の商習慣や法令に対応したIT導入が必要となるケースがあります。
地域に根ざした企業が複数参加するコンソーシアムなら、地域特有の事情を理解しつつITツール選定や導入支援をおこなってくれるでしょう。
上記のようなケースでは、コンソーシアムならではの総合力や専門性が大きなメリットとなります。
法人(単独)は、単独での専門性や迅速な対応が可能であるため、以下のようなケースで特に有効です。
1. 特定ITツールに特化した導入支援を希望する場合
特定の会計ソフトや業務管理システムなどITツールが決まっている場合は、そのツールに特化した専門知識と豊富な導入実績を持つ単独法人が有利です。
専門性の高いサポートを受けられるだけでなく、導入後の運用サポートも充実しているケースが多いでしょう。
2. コストを抑えたい場合
コンソーシアムと比べて、単独法人の方がコストを抑えられる傾向があります。
小規模なIT導入の場合や予算が限られている場合は、単独法人の利用を検討するのがよいでしょう。
3. 迅速な対応を希望する場合
意思決定が早く、スピーディーな対応を期待できる点も単独法人のメリットです。
コンソーシアムのように複数の企業との調整が必要ないため、迅速な導入や柔軟な対応を希望する場合は「単独法人」の方が適しています。
IT導入支援事業者を選ぶ際は、コンソーシアムと法人(単独)を比較し、自社の状況に合った選択をしてください。
IT導入補助金を活用するうえで、頼りになる存在のIT導入支援事業者。
その形態には「法人(単独)」と「コンソーシアム」の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
コンソーシアムは、幅広いニーズや専門性の高いIT導入に対応できる点が魅力です。
しかし、意思決定のスピードやコスト面では注意が必要しょう。
一方、法人(単独)は特定のITツールへの特化や迅速な対応・コスト面でメリットがあります。
どちらの形態が自社にとって最適なのかを、導入するITツールの種類や規模・必要なサポート体制・予算などを考慮して判断しましょう。
IT導入支援事業者の理解と比較で最適なパートナーを見つけ、導入補助金を最大限に活用してください。
【参考】IT導入補助金 2024令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業「ITベンダー・サービス事業者のみなさま」
【参考】IT導入補助金2024 IT導入支援事業者登録の手引き
【参考】IT導入補助金2024 IT導入支援事業者 登録要領