2017年にスタートしたサービス等生産性向上IT導入支援事業(通称:IT導入補助金)は、昨今のDX化に対応すべく、IT補助金を申請する事業者が増加しています。
2023年8月には事務局の委託業者が変わりました。
事務局の変更が、採択率にどう影響するのでしょうか。
本記事では、IT導入補助金の採択率について解説します。採択結果から、採択を左右する要因について紹介するので、IT導入補助金を検討している事業者はぜひ参考にしてください。
IT導入補助金の2023年度採択件数および採択率は以下のようになっています。(2024年1月時点)
全体的な採択率は、2021年度、2022年度より高めに推移しています。
項目 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
通常枠(A類型) | 4,858 | 3,525 | 75.66% |
通常枠(B類型) | 434 | 254 | 58.53% |
デジタル化基盤導入枠 | 51,816 | 39,723 | 76.66% |
セキュリティ対策推進枠 | 203 | 175 | 86.21% |
合計 | 71,129 | 54,282 | 76.31% |
2023年度の採択各項目の採択件数および採択率は以下の通りです。
項目 | 次数 | 申請数 | 採択件数 | 採択率 |
通常枠(A類型) | 1次 | 1,871 | 1,363 | 72.85% |
2次 | 2,987 | 2,162 | 72.38% | |
3次 | 2,837 | 2,143 | 75.54% | |
4次 | 2,804 | 2,160 | 77.03% | |
5次 | 1,186 | 911 | 76.81% | |
6次 | 2,188 | 1,691 | 77.29% | |
7次 | 2,802 | 2,154 | 76.87% | |
8次 | 2,001 | 1,546 | 77.26% | |
合計 | 4,858 | 3,525 | 75.66% | |
通常枠(B類型) | 1次 | 44 | 28 | 63.64% |
2次 | 77 | 43 | 55.84% | |
3次 | 70 | 37 | 52.86% | |
4次 | 69 | 42 | 60.87% | |
5次 | 23 | 14 | 60.87% | |
6次 | 56 | 34 | 60.71% | |
7次 | 51 | 31 | 60.78% | |
8次 | 44 | 25 | 56.82% | |
合計 | 434 | 254 | 58.53% | |
デジタル化基盤導入枠 | 1次 | 2,744 | 1,735 | 63.23% |
2次 | 3,078 | 2,160 | 70.18% | |
3次 | 4,146 | 3,117 | 75.18% | |
4次 | 3,577 | 2,796 | 78.17% | |
5次 | 5,061 | 4,002 | 79.08% | |
6次 | 7,275 | 5,643 | 77.57% | |
7次 | 3,337 | 2,727 | 81.72% | |
8次 | 2,557 | 2,059 | 80.52% | |
9次 | 3,911 | 2,923 | 74.74% | |
10次 | 3,487 | 2,844 | 81.56% | |
11次 | 3,363 | 2,642 | 78.56% | |
12次 | 3,257 | 2,464 | 75.65% | |
13次 | 3,034 | 2,287 | 75.38% | |
14次 | 2,989 | 2,324 | 77.75% | |
合計 | 51,816 | 39,723 | 76.66% | |
セキュリティ対策推進枠 | 1次 | 25 | 20 | 80.00% |
2次 | 37 | 32 | 86.49% | |
3次 | 16 | 16 | 100.00% | |
4次 | 24 | 21 | 87.50% | |
5次 | 15 | 11 | 73.33% | |
6次 | 30 | 27 | 90.00% | |
7次 | 34 | 30 | 88.24% | |
8次 | 22 | 18 | 81.82% | |
合計 | 203 | 175 | 86.21% |
【参考】1~4次:交付決定事業者一覧 | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金2023
【参考】5次~:交付決定事業者一覧及び交付申請件数2023(後期事務局)
IT導入補助金の事務局が2023年8月より変更となりました。事務局変更により、採択率への影響が気になる事業者も多いと予測されます。
結論をいうと、事務局の変更は採択率には無関係です。事務局が変更したことは、委託先が変更しただけにすぎないからです。補助金を管轄する中小企業庁は、採択の基準や予算等を見直されたわけではありません。
補助金事業に変更はないので、事務局の変更は採択率に関係ないことを把握しておきましょう。
2021~2022年度のIT補助金の年代別の採択率を比較したのが以下の表です。
【2021年度、2022年度の採択率】
申請数 | 採択数 | 採択率 | |
2021年度 | 52,026 | 30,825 | 59.2% |
2022年度 | 70,228 | 51,885 | 73.9% |
2022年度の方が2021年度と比較し、10ポイント以上採択率が高い結果となっていますが、デジタル化基盤導入の採択率が高いためにこのような結果となっています。
【参考】一般社団法人 サービスデザイン推進協議会
IT導入補助金で不採択となるケースとして、以下の3つの理由があります。
順を追って解説します。
不採択となる理由として、かなりの割合を占めているのが書類の不備です。不備内容として、会社情報の記載間違いや、申請した書類と会社の情報が合っていないなどがあります。申請時にはもう一度間違いがないかを十分注意しましょう。
申請内容において、補助金が本当に必要なのかと思われる場合、不採択となる恐れがあります。補助金の趣旨が理解できていないと事務局側に判断されるからです。
今後の事業計画において、補助金が必要不可欠であることを明確に説明する必要があるでしょう。
補助対象外となる経費を申請した場合、不採択となるので注意が必要です。
補助対象外となる経費として、以下のものがあります。
【参考】一般社団法人 サービスデザイン推進協議会:公募要領
IT導入補助金の申請し採択してもらうためには、以下の点に留意して申請することを推奨します。
申請金額より前期の年商が数倍あることが望ましいです。理由として、補助金で導入したシステムやツールにより生産性を向上し、売上が増加したことを明確に示す必要があるためです。売上高の増加が採択されるためには必須といえるでしょう。
インボイス対応も補助金の採択率をアップするためにおすすめです。補助の目的の一つとして、インボイス制度への対応があるからです。インボイス制度を導入することで、免税事業者との差別化が図れ、仕事の幅が広がることが見込まれます。
申請書類の記述を正直に行うことはとても重要です。問題解決における進捗状況の必要以上の記載は、補助することがないと判断されます。自社の現状をありのままに記載することが結果的に採択率のアップにつながります。
IT導入補助金の2023年度採択件数と採択率は2022年度と比較し3ポイントほど上昇しています。2023年8月より事務局が変わったため、採択率に影響すると考えている事業者もいるかもしれませんが、影響はないといえそうです。
とはいえ、申請をしっかり行わないと不採択になるので、注意が必要です。書類に不備があったり、補助金の趣旨を把握していなかったりすると不採択となる恐れがあります。また、補助対象外に経費を費やしても不採択になる場合にも留意しましょう。
採択率のアップを図るためには、申請金額の数倍の売上が望ましいですし、インボイス対応していることも有利に働きます。また、必要以上に誇張せず、ありのままの事業状況を記載することを心がけましょう。
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