「人材開発支援助成金 人材育成支援コース」は、企業の人材育成を強力にサポートする助成制度です。
本コースでは、企業が実施する職業訓練の経費や訓練期間中の賃金(一部)を助成します。
正社員だけでなく、有期雇用の従業員のスキルアップにも活用できます。
さらに、eラーニングやOJTなど、多様な訓練形態に対応しているのが特徴です。
2024年4月からは制度が改正され、書類の簡素化や要件の緩和がおこなわれ、さらに使いやすい制度になりました。
本記事では、人材育成支援コースの概要・助成金の支給要件・申請手続きの流れ・注意点まで徹底解説します。
助成金を活用して、効果的に人材育成を進め、企業の成長を加速させましょう。
人材育成支援コースは、企業が従業員のスキル向上を目指して実施する研修や訓練に対して、助成金を受けられる制度です。
この助成制度は、職務に必要な知識や技術を学び、さらにリーダーシップ能力の育成も支援目的としています。
具体的には、業務に関連する専門知識やスキルを習得するための研修が助成対象です。
OJT(職場内訓練)とOFF-JT(職場外訓練)の両方が含まれ、幅広い訓練形態に対応しています。
このコースは幅広い業種や規模の企業に適用され、中小企業から大企業まで、あらゆる企業が利用できる点が特徴です。
また、訓練の内容も多岐にわたり、技術習得から管理職育成まで、企業のニーズに応じた柔軟な対応が可能です。
制度を利用できるのは、雇用保険適用事業所であり、労働保険に加入している事業主です。
業種による制限はなく、中小企業から大企業まで幅広く活用可能です。(企業規模により助成率や助成額が異なる)
製造業やサービス業で多くの活用事例がみられ、技術革新やデジタル化の進展、そして顧客ニーズの多様化への対応が背景にあります。
これらの変化に適応するため、企業は継続的な人材育成を重要視しています。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
本コースの対象となるのは、雇用保険被保険者の従業員です。
正社員はもちろん、パートタイム労働者や有期契約労働者なども対象です。
職位や勤続年数による制限もないため、新入社員から管理職まで、企業内のあらゆる階層の従業員の育成に活用できます。
キャリアアップを目指す従業員のスキルアップはもちろん、正社員転換を目指す有期雇用労働者の育成など、さまざまな人材育成のニーズに対応できる制度です。
人材育成支援コースは、企業における人材開発を総合的にサポートする制度といえるでしょう。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
人材育成支援コースを活用するメリットは、大きく分けて2つあります。
1つ目は「人材育成にかかるコストを削減できる」ことです。
研修費用や訓練期間中の賃金の一部が助成されるため、企業の負担を軽減できます。
2つ目は「従業員のスキルアップによる生産性向上・競争力強化」が見込めることです。
研修を通して従業員のスキルが向上すれば、業務効率化や顧客満足度向上につながり、ひいては企業の成長へとつながります。
助成金を利用するための基本的な要件は次のとおりです。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
これらの要件を満たすことで、企業は助成金を効果的に活用し、従業員の成長を促進できます。
結果として、組織全体の生産性向上と競争力強化につながるでしょう。
助成率の上乗せを受けるためには、下記いずれかの要件を満たす必要があります。
【賃金要件】
【資格等手当要件】
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
これらの要件を満たすことで、助成金の加算を受けられます。
対象となる訓練は、職務に関連した知識・技能の習得を目的としたものに限られます。
具体的な要件として、
なお、以下のような訓練は助成対象外になるので注意してください。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
訓練内容は事前に計画を立て、労働局の確認を受けましょう。
人材育成支援コースは、企業が従業員のスキルアップを支援するために活用できる助成金制度で、訓練内容に応じて3種類に分類されています。
訓練の種類は、企業の目的や従業員の状況に応じて選択できます。
各訓練には異なる要件や助成額が設定されていますが、いずれも職業能力開発推進者の選任や事業内職業能力開発計画の策定が必要です。
また、訓練開始日の1ヵ月前までに職業訓練実施計画届を労働局に提出する決まりがあります。
2024年4月からは申請手続きが簡素化され、eラーニングによる訓練やデジタル人材育成に関する要件も拡充されています。
また、都道府県労働局を通じた電子申請も可能となり、より利用しやすい制度になりました。
人材育成訓練は、従業員の職務に必要な知識や技能の習得を目的とした訓練です。
OFF-JTによる訓練が対象で、訓練時間は10時間以上が要件です。
助成の種類 | 内容 | 助成額 |
経費助成 | 訓練にかかった費用の一部を助成 | 中小企業:訓練経費の45% 大企業:訓練経費の30% |
賃金助成 | 訓練期間中に支払った賃金の一部を助成 | 1時間あたり760円 |
賃金助成の加算 | 賃金要件または資格等手当要件を満たした場合に加算 | 条件を満たした場合に加算 |
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
助成額は、訓練経費の一部を補助する「経費助成」、訓練中の賃金の一部を補助する「賃金助成」、そして特定の要件を満たした場合の「賃金助成加算」で構成されています。
経費助成は、中小企業は訓練経費の45%、大企業は30%が助成されます。
賃金助成は、1時間あたり760円が支給されます。
認定実習併用職業訓練は、企業の中核人材を育成するための訓練で、厚生労働省の認定を受ける決まりがあります。
この訓練は、OJT(職場内訓練)とOFF-JT(職場外訓練)を組み合わせて実施される点が特徴です。
実務経験を積みながら必要な知識やスキルを学べるため、即戦力として活躍できる人材の育成が期待できます。
助成額としては、賃金助成や資格取得手当が支給されるため、企業が直接的なコスト負担を軽減できるのが大きなメリットです。
最大で1000万円の助成が受けられるため、企業は従業員のスキル向上とともに、競争力の強化も期待できるでしょう。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
有期実習型訓練は、有期契約労働者の正社員転換を目的とした訓練です。
OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を実施し、訓練終了後、対象者を正社員として雇用することが条件です。
助成額は、人材育成訓練と同様に、経費助成・賃金助成・賃金助成の合計からなります。
【助成内容】
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
有期実習型訓練は、人材の定着率向上と、企業の生産性向上につながるとして注目されています。
人材育成支援コースで助成対象となる訓練は、従業員の職務に関連した幅広い内容が対象です。具体的には以下のような研修が該当します。
【対象となる主な訓練例】
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
2024年4月からは、DX人材育成に関する訓練も拡充され「DX推進スキル標準」に基づく資格取得も助成対象です。
さらに、団体等検定の受検料なども助成対象に追加されました。
事業内で実施する「事業内訓練」と、外部の教育機関などに委託する「事業外訓練」のいずれも対象です。
助成金の支給額は、訓練内容や企業規模によって異なります。
人材育成訓練の場合、中小企業であれば、訓練経費の45%(大企業の場合は30%)が助成されます。
区分 | 内容 |
経費助成 | ・訓練に要した経費の45%(中小企業の場合)・対象:受講料・教材費・講師謝金など・訓練時間数に応じて上限額を設定└10時間以上100時間未満:15万円└100時間以上200時間未満:30万円└200時間以上:50万円 |
賃金助成 | ・訓練期間中の賃金の一部を助成・1時間あたり760円(中小企業の場合)・所定労働時間内の訓練が対象 |
OJT実施助成(該当する訓練の場合) | ・認定実習併用職業訓練:20万円・有期実習型訓練:10万円 |
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
賃金助成は、訓練時間に応じて支給されます。
例えば、1時間あたり760円(中小企業)が支給され、10時間のOFF-JTを実施した場合、7,600円の賃金助成を受けられます。
(資格等手当要件を満たす場合は、助成額が加算)
例えば、対象労働者5名に対して、資格取得後に毎月1万円の資格手当を支給した場合、年間で60万円の助成金が加算されます。
1事業所が1年度に受給できる助成金の上限は1,000万円です。
助成金の支給申請は、訓練を終えた日の翌日から2ヵ月以内におこなう決まりです。
支給までの基本的な流れは6ステップです。
なお、賃金要件・資格手当要件を満たした場合は、要件達成後に別途申請すると、助成率の上乗せ分が追加支給されます。
人材育成支援コースの申請は、大きく分けて「訓練計画届の提出」「訓練の実施」「支給申請」の3つのステップで進めます。
2024年4月からは電子申請も可能となり、より手続きが簡素化されています。
【申請の基本的な流れ】
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
各ステップで適切な書類の提出と記録管理が求められます。
申請に必要な主な書類を確認していきましょう。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
これらの書類は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
事前に内容の確認をおこない、書類の不備がないようにしましょう。
特に賃金台帳や従業員名簿は、労働基準法に基づいた形式で作成する必要があり、正確なデータの提出が求められます。
また、書類のコピーや電子データも必要になる場合があるため、確認しておきましょう。
書類提出後、労働局で審査がおこなわれます。
審査では、研修内容が要件を満たしているか、費用が適切に計上されているかなどが確認されます。
審査期間は、2〜6ヵ月程度かかることが一般的です。
審査に通過すれば、助成金が支給されます。
不明な点があれば、都道府県労働局に問い合わせてみましょう。
助成金を申請する際には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。
申請のタイミングや書類の不備は、よくあるミスとして知られています。
例えば、申請書類に誤りがあると、審査が遅れるか、最悪の場合、申請が却下される可能性もあります。
また、申請のタイミングが遅れた場合、受理されないこともあるため、期限をしっかりと守ることが重要です。
さらに、書類の準備には細心の注意が必要です。
従業員名簿や賃金台帳などの基本的な書類に加え、研修計画書や支払証明書なども正確に揃えましょう。
助成金の支給を受けるためには、訓練実施に関わるすべての経費について、支給申請日までに支払いを完了させておきましょう。
これには、受講料・テキスト代・講師謝金などすべての経費が含まれます。
高額な外部研修を利用する場合は、必要な資金をあらかじめ確保しておくことが重要です。
支払い完了を証明する領収書等の保管も忘れずにおこないましょう。
有期実習型訓練は、他の訓練と比較して手続きが複雑で、多くの書類が必要です。
手順をよく確認しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。
申請にあたり、訓練対象者を雇用している場合は、計画届の提出前にキャリアコンサルタントなどによる面接を受ける必要があります。
訓練受講者は「ジョブ・カード」を作成し、事業主が作成した訓練カリキュラムに基づき、キャリアコンサルタントなどによる面接を受け、訓練が必要か確認を受けます。
【参考】厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内
労働局に相談し、必要な手続きと書類を確認しておきましょう。
今回は、人材開発支援助成金、特に人材育成支援コースについて解説しました。
人材育成支援コースは、従業員のスキルアップを目的とした研修や訓練を実施する際に活用できる助成金制度です。
OFF-JT・OJT、または両者を組み合わせた訓練が対象で、企業の規模や業種を問わず、幅広い企業が利用可能です。
助成金を申請する際には、計画届の提出・研修の実施・支給申請書の提出など、いくつかのステップがあります。
人材育成支援コースの活用で、人材育成コストの削減や従業員のスキルアップ・生産性向上・企業競争力強化が期待できます。
ぜひ本記事を参考に、人材育成支援コースの利用を検討してみましょう。
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