IT導入補助金は、中小企業等の生産性向上に役立つITツール導入を支援する制度です。
最大450万円の補助金が得られるため、多くの事業者にとって魅力的な制度ですが、申請手続きの難易度が高いのが悩みどころ。
そこで注目されているのが、IT導入補助金の申請代行サービスです。
しかし、申請代行サービスにはさまざまな種類があり、サービス範囲や選定基準もわかりにくいという方も多いでしょう。
そこで本記事では、IT導入補助金の申請代行についてできることとできないこと、サービス選定の基準などを詳しく解説していきます。
IT導入補助金の申請代行とは、IT導入補助金の申請手続きを支援するサービスです。
ただし、申請代行ができるのは、事務局に登録されたIT導入支援事業者のみ。
また行政書士や社会保険労務士の資格を持っていても、事務局へのベンダー登録が必須となっています。
2024年度の登録ベンダー一覧は、IT導入補助金2024 ITツール・IT導入支援事業者検索から検索可能です。
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金の申請をサポートする事業者のことです。
ITツールの選定や導入・申請書類の作成など、IT導入補助金に関する専門的な知識を持っています。
IT導入支援事業者に補助金の申請代行を依頼するメリットは3つです。
①申請手続きがスムーズ
IT導入支援事業者は、申請に必要な書類や手続きに精通しているため、申請手続きをスムーズに進めることが可能です。
申請者は煩雑な手続きに振り回されることなく、本業に専念できます。
②採択率が高くなる
IT導入支援事業者は、採択される申請書の作成ノウハウを持っているので、採択率を高めるためのアドバイスをしてくれます。
たとえば申請書の記載内容や事業計画の立て方など、自社で申請するよりも採択率が高くなるでしょう。
③アフターフォロー
IT導入補助金の申請が採択されたあとも、IT導入支援事業者はITツールの導入や操作方法など、アフターフォローをしてくれます。
IT導入に不安を感じている申請者にとって、心強い味方となってくれます。
IT導入補助金の申請代行を依頼する際の注意点として、申請は本人しかできないということが挙げられます。
具体的には、以下の手続きは申請者本人がおこなう必要があります。
・申請マイページの開設 ・交付申請情報(事業者情報)の入力 ・交付申請情報(補助事業情報)の入力 ・SMS認証・提出 |
IT導入支援事業者は、申請書類の作成や申請手続きのサポートはできますが、申請そのものを代行できないので注意しましょう。
IT導入補助金の申請代行では、申請者に代わってさまざまなサポートを実施します。
・相談や事前準備サポート ・申請マイページへの招待 ・申請のサポート ・書類の作成サポート ・アフターフォロー |
それぞれのサポート内容について解説します。
IT導入支援事業者は、申請者のニーズに合ったITツールの提案や補助金情報の提供・公募要領と申請要件のチェックを行います。
また、申請書類の作成も代行してくれるので、依頼者はほとんど手を動かすことなく申請準備が可能です。
IT導入補助金の申請をおこなうには、IT導入支援事業者から招待されたページにログインしなければなりません。
これは、申請手続きの決まりごとです。
そのため、申請代行を依頼するつもりがない場合でも、IT導入支援事業者の選定は欠かせません。
IT導入事業者を選ばずに自社のみで申請を進めることは、事実上不可能だといえるでしょう。
IT導入支援事業者は、申請画面の入力内容に関するアドバイスやチェックをおこないます。
また、導入支援事業者が入力する項目についても、代行して入力できます。
IT導入補助金の申請には、事業計画書などの添付書類が必要です。
IT導入支援事業者は、これらの書類の作成代行および相談に乗ることができます。
書類の内容が採択率に直結するため、専門家のサポートは心強いでしょう。
IT導入補助金の申請が採択されたあとも、IT導入支援事業者はアフターフォローをおこなうことができます。
また、事業実施後に必要な書類の作成フォローなども依頼可能です。
IT導入補助金の申請代行は、申請者の負担を大幅に軽減してくれますが、代行できない事項もあります。
・必要書類の準備・提出 ・申請プロセス ・申請画面の基本項目入力 ・本人確認 |
それぞれ説明していきます。
申請書類や事業実施後の効果報告書など一部の書類については、申請者自身で準備・提出する必要があります。
ただし、書類の作成についてはIT導入支援事業者からアドバイスを受けられます。
以下のプロセスは、申請者自身で実施しなければなりません。
・gBizIDプライムアカウントの作成 ・SECURITY ACTION宣言 ・みらデジの経営チェック ・申請に対する宣誓 |
これらの手続きはIT導入補助金の適正な運用と、補助金の不正受給防止のために設けられています。
手続き方法については、IT導入補助金事務局のホームページやIT導入支援事業者にご確認ください。
事業計画などの申請画面の基本項目については、申請者自身で入力する必要があります。
代理申請や基本項目の入力代行はできません。
ただし、IT導入支援事業者のみが入力できる項目があります。
申請者の本人確認は、申請者自身でおこなう必要があり、代行はできません。
IT導入補助金の申請代行を依頼する際は、適切なIT導入支援事業者を選定することが重要です。
・条件を絞り込む ・依頼するベンダー・業者を選定する ・依頼・契約 |
それぞれ選定手順を説明します。
IT導入支援事業者を探す際は、まず検索画面で条件を絞り込んで候補を見つけましょう。
検索する際の共通項目は以下の4つです。
1. 営業エリア 自社の所在地や導入予定の事業所の地域を選択します。 2. 法人名・幹事社名 特定の事業者を探す場合に入力します。 3. コンソーシアム名 複数の事業者が連携して支援をするグループ名で検索できます。 4. セキュリティ認証保持事業者 セキュリティ対策が重要な場合、認証を持つ事業者を選べます。 |
デジタル化基盤やセキュリティ対策の申請を考えている場合は、導入したいITツール名で検索できます。
これらの条件を組み合わせることで、自社のニーズに合ったIT導入支援事業者を効率的に見つけることができます。
候補が表示されたら、各事業者の特徴やサービス内容を比較し、相談してみましょう。信頼できるパートナーを見つけることが、成功への第一歩です。
条件を絞り込んだら、実際に依頼するIT導入支援事業者を選定します。
選定する際は、次の点に注意しましょう。
・代行可能な範囲 ・専門資格の有無 ・事業者の実績や評判 ・サポート体制や対応の質 ・料金体系からのコストパフォーマンス |
IT導入支援事業者との相性は大切です。
面談やWeb会議でのコミュニケーションが取りやすいか確認しましょう。
IT導入支援事業者が決まったら、正式に依頼・契約を交わします。
契約する際は、以下の点を確認しましょう。
・提供されるサービスの内容と範囲 ・料金体系と支払い方法 ・サポート体制と対応時間 ・契約期間と解約条件 ・秘密保持や個人情報の取り扱いについて |
これらの点を明確にすることでトラブルを防ぎ、スムーズに申請代行を進めることができます。
また、申請代行の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて相談や調整も大切です。
IT導入支援事業者とのコミュニケーションを密に取ることで、申請がスムーズに進み、採択率も高くなるでしょう。
IT導入補助金の申請代行には、主に2つの料金体系があります。
・成功報酬型 ・費用固定型 |
成功報酬型は、申請が採択された場合にのみ報酬が発生する料金体系です。
報酬額は補助金額の10%〜20%程度が相場といわれています。
メリットは採択されなかった場合のリスクを負わないことですが、デメリットは採択された場合の報酬額が高くなること。
一方で費用固定型は、申請の成否に関わらず、一定の報酬が発生する料金体系です。
メリットは採択された場合の報酬額が抑えられることですが、デメリットは採択されなかった場合でも報酬が発生すること。
どちらの料金体系が適しているかは、申請者の予算や採択への自信・リスク許容度などによって異なります。
成功報酬型は、採択に自信がある場合や予算が限られている場合に適しているでしょう。
一方費用固定型は、採択に不安がある場合や予算に余裕がある場合に適しています。
IT導入支援事業者によって料金体系が異なるため、複数の事業者に相談し自社に合った料金体系を選ぶことが大切です。
また、料金体系だけでなく、サービス内容や質・サポート体制なども総合的に判断することが重要です。
小幡建設工業株式会社は、2つのIT導入補助金を活用しソフトを導入しました。
・就業大臣NX スタンドアロン(就業・勤怠管理ソフト) ・大臣スマート打刻サービス(スマートフォンを利用した) |
これにより建設現場で働く社員が本社に出社することなく、現場で直接勤怠管理ができます。
その結果移動時間が削減され、残業時間が3分の1に減少しました。
また勤怠管理業務の効率化により、作業時間が2日から1日に短縮されました。
同時に有給取得のデジタル化と1時間単位での取得を可能にしたことで、有給消化率も向上しました。
小幡建設工業株式会社は、ITツールの導入により、働き方改革を着実に進めています。
事例詳細は独立行政法人中小企業基盤整備機構からご覧ください。
IT導入補助金の申請代行は手続きを軽減し、採択率を上げる効果があります。
ただし、自分で行う手続きもあり、IT支援事業者選びは条件を整理し複数の比較が必要です。
料金やサポート内容を見て、自社に合ったサービスを選びましょう。