事業再構築補助金の採択率は、企業が補助金申請を検討する際の重要な判断材料です。
第12回公募では、申請件数7,664件のうち2,031件が採択され、採択率は約26.5%と厳しい結果が発表されました。
しかし、採択されやすい事業計画には一定の特徴があり、ポイントを押さえることで成功率を上げることが可能です。
本記事では、第12回公募結果の詳細や過去の採択率推移、成功するための事業計画の作成方法を解説します。
事業再構築補助金を活用し、成長を目指す企業の経営者や申請を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
2024年11月に発表された第12回公募の採択結果では、総申請件数7,664件に対して採択件数は2,031件、採択率は26.5%でした。
事業類型別の詳細な採択状況は以下のとおりです。
事業類型 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
成長分野進出枠(通常類型) | 4,684件 | 1,038件 | 22.2% |
成長分野進出枠(GX進出類型) | 891件 | 349件 | 39.2% |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | 1,189件 | 317件 | 26.7% |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 604件 | 206件 | 34.1% |
サプライチェーン強靭化枠 | 296件 | 121件 | 40.9% |
【参考】事業再構築補助金事務局 事業再構築補助金 第12回公募の結果について
類型によって採択率に大きな差がみられ、特にサプライチェーン強靭化枠とGX進出類型で高い採択率です。
主要な業種の採択実績は以下のとおりです。
業種 | 採択件数割合 |
製造業 | 43.6% |
卸売・小売業 | 13.3% |
建設業 | 12.8% |
宿泊業・飲食サービス業 | 6.4% |
情報通信業 | 5.1% |
【参考】事業再構築補助金事務局 事業再構築補助金 第12回公募の結果について
製造業が高い採択率となった主な理由は、具体的な設備投資計画を示し、新分野展開における技術力の活用方法を明確に説明できていることにあります。
また、次にある補助金申請額の分布を見ると、1,500~3,000万円未満の案件が全体の37.3%を占め、適度な投資規模での事業再構築計画が多く採択される傾向にありました。
【出典】事業再構築補助金事務局 事業再構築補助金 第12回公募の結果について
1,500~3,000万円未満の金額帯が多い理由として、事業の実現可能性と投資効果のバランスが取れていることがあげられます。
特に資金調達や市場拡大を目的とした具体的な計画を提出した企業が採択されやすい傾向にあるでしょう。
これらのデータからも、明確な目標設定と事業計画の緻密さが採択結果を左右するポイントだと考えられます。
今後の申請を検討する企業は、この傾向をしっかりと把握し、自社の強みを活かした具体的かつ持続可能な計画作りを心がけましょう。
事業再構築補助金の採択率は、開始から現在まで大きく変動しています。
第1回から第12回までの採択率の推移をまとめました。
回数 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回(2021年) | 22,229件 | 8,015件 | 36.1% |
第2回(2021年) | 20,800件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回(2021年) | 20,307件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回(2022年) | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
第5回(2022年) | 21,035件 | 9,707件 | 46.1% |
第6回(2022年) | 15,340件 | 7,669件 | 49.9% |
第7回(2023年) | 15,132件 | 7,745件 | 51.0% |
第8回(2023年) | 12,591件 | 6,456件 | 51.0% |
第9回(2023年) | 9,369件 | 4,259件 | 45.0% |
第10回(2023年) | 10,821件 | 5,205件 | 48.1% |
第11回(2024年) | 9,207件 | 2,437件 | 26.4% |
第12回(2024年) | 7,664件 | 2,031件 | 26.5% |
上記のデータをよりわかりやすく可視化したものが、次のグラフです。
事業再構築補助金は、2021年に開始され、第1回公募以降、多くの企業が申請してきました。
初回(第1回)の採択率は36.1%、第7回では51.0%と高水準を記録しましたが、第8回以降は審査基準が厳格化され採択率は低下しています。
前回の第11回公募では26.4%と、これまでのなかで最も厳しい結果でした。
採択率が変動する要因としては、以下の点があげられます。
また、審査員が事業計画の「独自性」や「社会的インパクト」を厳しく評価する傾向もみられます。
これらの動向を踏まえ、次回以降の公募では、過去の採択傾向を分析し、基準を満たすだけでなく、審査員に響く魅力的な事業計画の作成が求められます。
第12回公募で採択された事業計画には、いくつかの共通した特徴がみられました。
これらのポイントをおさえることで、次回以降の採択可能性を高められるでしょう。
次回の申請を成功させるためのポイントはシンプルです。
自社の「強み」と「課題」を客観的に見つめ直しましょう。
そのうえで、具体的で達成可能な目標を設定し、実現性の高い計画を立てることが重要です。
さらに、認定支援機関への相談も効果的です。
支援機関の専門家から、申請書類の作成方法や事業計画の改善について、実践的なアドバイスをもらいましょう。
事業再構築補助金の採択率は、いくつかの要因によって大きく影響を受けます。
以下の3つのポイントが特に重要とされています。
【革新性】
事業計画が既存の事業内容から大きく転換し、革新的な要素を含んでいるか(特に技術革新や新市場への挑戦が高く評価される)
【再構築の必要性】
事業環境の変化や経営課題を適切に分析し、補助金を活用して再構築する必要があると示せるか
【実現可能性】
計画が具体的で、実行可能性が高い内容となっているか
(明確な資金計画やスケジュールが評価される)
また、年度ごとの予算枠や申請件数の増減も採択率に影響を与えます。
例えば、予算枠が限られている場合、審査基準を満たしていても競争の激化で採択が難しくなる傾向があります。
第12回公募では、全体の申請件数が増加したことも採択率が約26.5%に留まった一因です。
そして、中小企業と大企業、製造業やサービス業などの業種の違いも採択率に影響をおよぼします。
特に製造業は設備投資計画が審査基準に合致しやすいことから、採択件数が多い傾向です。
一方で、小売業やサービス業などは、持続可能性や成長性を示す計画が求められるため、採択のハードルが高くなることがあります。
これらの要因を踏まえ、申請企業は審査基準を徹底的に理解し、自社の事業計画を審査員にアピールできる内容に仕上げることが重要です。
また、競争率が高い公募においては、事前準備を徹底し、少しでも有利なポジションを確保しましょう。
第13回公募は2025年1月から3月頃に開始される見込みです。
審査基準は、第12回から導入された口頭審査やAIを活用した審査が継続され、より厳格化される傾向にあります。
今から準備したい重要なポイントは次のとおりです。
【事業計画の策定】
過去の採択事例や自社の強みを分析し、明確な課題設定や具体的な目標、実現・持続可能な計画を盛り込んだ事業計画書を丁寧に作成しましょう。
【必要書類の確認】
公募要領が発表されたら必要書類を漏れなく確認し、準備を開始しましょう。
財務諸表や事業実績を示す書類は作成に時間を要します。
また、GビズIDプライムの取得や金融機関による確認書などの手続きにも時間がかかるため、できるだけ早めに準備を始めましょう。
【認定支援機関との連携】
事業計画書作成の段階から、認定支援機関に相談し、専門的なアドバイスやサポートを受けましょう。
認定支援機関は豊富な採択事例と審査基準の知識を持っており、高品質な事業計画書の作成を効果的にサポートします。
【早期の準備が成功のカギになる理由】
早期準備が重要な理由は、第12回の採択率が26.5%と低く、より綿密な事業計画の作成が求められているためです。
早期の準備は、採択率の向上だけでなく、精神的な余裕ももたらします。
公募期間中は、他の申請者との競争が激しく、焦りや不安を感じやすい状況です。
しかし、早めに準備をはじめることで、十分な時間をかけて事業計画を練り上げ、質の高い申請書類を作成できます。
次回公募に向けて、今から準備をはじめることこそが、採択への確実な一歩となるでしょう。
事業再構築補助金に関して、よく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
申請を検討中の方はもちろん、すでに申請を終えた方、過去に不採択となった方も、ぜひ参考にしてください。
Q1.採択率が低いなかでの成功の秘訣は?
A1.事業再構築補助金の採択率が低いのは事実ですが、成功している企業には共通点があります。
それは、明確な課題意識と具体的な解決策、そしてそれを実現するための綿密な計画です。
単に補助金をえるためではなく、自社の事業を本気で変革したいという強い意志と、実現可能性の高い計画が重要です。
さらに、認定支援機関と連携し、専門家のアドバイスを受けながら、説得力のある事業計画書を作成しましょう。
Q2.認定支援機関を選ぶ際のポイントは?
A2.認定支援機関は、事業計画の策定から採択後のサポートまで、幅広く支援してくれる存在です。
選ぶ際には、次のポイントを確認しましょう。
特に、採択実績が豊富で、自社の業種を理解している機関を選びましょう。
Q3.採択後の補助金の使い道に制限はある?
A3.はい、補助金の使い道には制限があります。
原則として、事業計画書に記載した内容に沿った経費のみが補助対象です。
また、以下のような経費は補助対象外となるため、注意が必要です。
【参考】事業再構築補助金事務局 事業再構築補助金【サプライチェーン強靱化枠を除く】公募要領(第12回)
補助金の使い道に関する詳細は、交付決定通知書や補助金事務局の資料を確認し、不明な点は事務局へ問い合わせましょう。
Q4.不採択だった場合の次回挑戦のコツは?
A4.不採択だった場合でも、諦めずに次回への挑戦が可能です。
まずは、不採択理由を事務局に問い合わせ、その理由を分析しましょう。
次に、以下の点を改善し、事業計画書を再度見直しましょう。
これらの改善点に取り組み、より質の高い事業計画書を作成することで、採択される可能性は大きく高まります。
事業再構築補助金の採択率は、今後の公募回においても変動が予想されます。
まず、採択率は、過去の推移からもわかるように、今後も大幅な上昇は見込みにくいと考えられます。
これは、補助金制度の認知度がますます高まり、申請件数が引き続き高水準で推移すると予想されるためです。
政府の財政状況や政策方針の変化により、予算規模が変動する可能性も考慮する必要があります。
また、公募回数を重ねるごとに、審査基準がより厳格化される傾向は今後も継続すると考えられます。
特に、事業計画の実現可能性や革新性、持続可能性は、より詳細な内容が求められるようになるでしょう。
さらに、補助金制度の趣旨に合わない事業計画や、粗雑な計画書は、より厳格に審査される傾向が強まると予測されます。
そのため、周到な準備と戦略的な事業計画の策定が、これまで以上に重要となるでしょう。
一方で、政府は中小企業の事業再構築を重要な政策課題として位置付けており、必要に応じて予算の拡充や新たな枠組みを検討する可能性もあります。
例えば、特定の業種や地域に特化した補助金枠の創設や、より規模の小さな事業者を対象とした新たな制度の設立などが考えられます。
今後の政策動向や補助金制度の最新情報も注視していきましょう。
これらの予測を踏まえ、常に最新の情報を収集しながら、自社の状況に合わせた最適な戦略を立てましょう。
第12回公募では、7,664件の申請に対し2,031件が採択され、採択率は約26.5%と厳しい結果でした。
このことから、事業再構築補助金の申請には、明確な戦略の策定が重要だとあらためて明らかになりました。
本補助金は、新事業への挑戦や成長分野の進出を支える重要な制度です。
次回公募に向けては、過去の採択傾向を分析し、自社の強みを最大限に活かした具体的で実現可能な計画作りが成功の鍵となるでしょう。
また、認定支援機関と連携し、書類作成や申請の精度を高めることが成功のポイントです。
早めの準備を進め、採択を勝ち取るための準備を整えましょう。
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